Character

※キャラクターの年齢表記は「初登場時の年齢」になりますので、Twitterで紹介している情報とは一部異なります。

 

#00 ファンザム帝国

オリガ・エルド・ベルティナ

ベルティナ家の当主で、ファンザム帝国の三代目皇帝。ティラルとその双子の弟ロザリオの父。子煩悩で愛妻家の穏やかな人物として知られていた。
ティラルが4歳の時に、意図せず起きた《神降ろし》により自身に《神》が降り、御すことができず憑依されてしまう。
現在オリガの本来の自我は既に消滅しており、《神》としてグラフィエル教の崇拝対象となっている。

キシュル

百余年ほど前に東の大陸から移住してきたニュートの子孫で、獣態は白い狼。ティラルとロザリオの母、オリガの妻、ラタルの姉。好奇心旺盛で精神的にやや幼く、他人を疑うということを知らない無垢な女性。
《光の紋章》の所有者だったが、ティラルを出産した際に紋章はティラルへと受け継がれた。オリガに《神》が降りる直前に失踪して以来、彼女の姿を見た者はいないという。

#01 クネ王国(辺境の集落エリアル)

ティラル・ベルティナ(13~15)

物語の主人公。ファンザム帝国の第一皇子。
心優しく他人の悪意に鈍感な、純朴な少年。
《光の紋章》の所有者で、強力な治癒魔法を扱う。
幼少期から《守護者》として自分を守ってきた竜族のナツキを姉のように慕っており、4歳の頃に《神》に憑依された父・オリガによって祖国を追われて以来、逃げ延びたクネ王国の辺境の集落エリアルでナツキに守られながら成長する。
与えられた物や事柄をなんでも素直に受け入れがちで、自身の意思で何かを選んだり決断することにはやや不慣れ。
13歳になった頃、《緋い月》の出現とともに再び帝国から追手がかかり、ナツキと共に安住の地を求めて長い旅を始めることになる。

ナツキ・カナツイ・エリム(21~23)

朗らかな性格の竜族の女性。面倒見のいいお姉さんで、特にティラルに対しては超が付くほど過保護。可能な限り彼の傍に寄り添い、眠る時も決して離れることはない。
竜と竜族の国「エリム竜王国」の王という立場でありながら、ティラルの《守護者》を勤める事を優先しているため、王としての仕事は祖国の異母妹ウェアに一任している。自身に宿る《竜の紋章》を使うことで竜を召喚できるが、ナツキ自身の戦闘能力も十分に高く、戦闘時に彼らを喚ぶことはほとんどない。
竜族としてはやや小柄な体格ではあるが、ヒト族の女性と比べるとかなり長身なため、どこに居ても目立つ。

アムル・グレアム・クネ(25)

クネ王国の第三王子。王命で、ティラルとナツキを自身の管轄する領地に匿っている。
根っからの民俗学・異種俗学オタクで、様々な地方のヒト族や種族に関する知識を持っている。そのため、ヒト族ではないティラルとナツキの生活に関してもよく気がつき、不自由のないように頻繁に彼らのもとを訪ねては何かと世話を焼いてくれた。
ティラルに読み書きを教え、読書という趣味を与えた人物。

ソルサ・ラスティーン(41)

辺境の集落エリアルに住む、壮年のヒト族の女性。偶然見かけたティラルとナツキを保護し、2人を我が子のように愛情をもって育ててくれた人物。

白狼

辺境の集落エリアルの近くに縄張りを持つ真っ白な狼。ティラルが1人で過ごしている時にのみ姿を現すため、エリアルの皆はこの白狼のことを認識していない。

#02 エルダ樹海

パルス(外見10)

住処を失ったエルフの幼体(雄個体)。
見た目は幼いがティラルの倍以上は生きているため、ティラルを弟(保護対象)のように扱う。
かつてヒト族との関わりを持っていたらしく、エルフにしては珍しく片言ながらもある程度ヒト族の言葉を使用できる。
エルダ樹海で負傷し身動きが取れなくなっていたところをティラルたちに助けられ、そのお礼に樹海の道案内を買って出て以来、彼らと共に旅をするようになる。
警戒心が強く、気を許した相手以外には一切近寄ろうとしないが、本来は好奇心旺盛で人懐こい性格の少年。
ふわふわモフモフしたものが好き。

モカチ

エルダ樹海で最も無害な生き物。
全身が白カビのようなもので覆われており、触れると手に白い粉が付く。
赤い瞳が5つあり、カチカチと歯を鳴らしてコミュニケーションをとっている……らしい。

#03 イニスの里

孔雀(ゼファー)(外見30)

イニスの里の長。《神》の域の魔力を持つとも言われる規格外の存在で、《神話時代》が終わり精霊が力を失うと、自らの魔力を使い山ひとつに結界を張ってイニスたちを匿い、現世に姿を維持できなくなった多くの命を救った。そのため、イニスたちからは信仰にも近い敬愛の意を込めて「イニスの王(ゼファー)」と呼ばれている。
旧知の仲の竜王(ナツキ)の要請に快く応じ、3人をイニスの里に客人として招き入れるが、ティラルの中に棲む《異物》の存在を感知すると、それを強く警戒した。
彼自身は声を「音」として発する能力を持っておらず、対象の脳に直接言葉を送り込むことで会話を成立させている。

ツグミ・カイム(外見15)

孔雀の妹。最低階級に属する雑種のイニス達を取りまとめる役目を担っており、彼女自身も雑種。
前向きで気さくで面倒見がよく、皆から「母」として慕われている。
自分の巣で暮らすことになった異種族のティラルに対しても他のイニスに対するのと同じように接し、巣で所在なくしているティラルに自力での生活が困難な雑種たちの世話をする仕事を与え、多くの生と死に触れさせた。
また、自身の翼の触り心地をパルスに気に入られ、まるで母親のように懐かれた。彼女自身もパルスのことを強く気にかけ、里の環境に馴染めず体調を崩した彼のことを懸命に介抱し続けたが……

ルリ・ライム(外見20)

自身に生じた《死の兆候》によりツグミの巣で療養生活を送っている女性で、ティラルに対して最初から非常に友好的に接した珍しいイニス。
元上級層に属していたため周囲から畏れられ、巣では若干浮いた存在ではあったが、人当たりは良かった。

イニスの子どもたち

タリムをリーダーとした、スジム、ニイム、フリムのいたずらっ子4人組。
始めの頃はティラルを「ハネナシ」と呼んで子分扱いしていたが、ある事件をきっかけに「仲間」としての対等な関係へと変わっていく。なお、子どもとは言っても既に数十年はゆうに生きている。

#04 ラベド王国

クロノス・グラフィエル(14)

物語のもうひとりの主人公。よく喋りよく笑う快活な性格で、裏表もなく非常に面倒見がいい少年。グラフィエル王国の第一王子。
ヒト族の父とハーフエルフの母を持ち、エルフの血を1/4引く混血種で、使用する魔法によって髪と瞳の色が変化する。
14歳にして高位魔術師(アドラム)の階級を有し、年の離れた盲目の弟・サマエルの《守護者》を務めている。
ラベド王国領でナツキと別行動をとっていたティラルとパルスの前に現れ、窮地に陥ったティラルの命を救うために臨時の《守護者》の契約を交わす。彼を献身的に支え、メホド王国までの旅の手助けをすることを申し出るが、その真意は―――

宿の主人

瀕死のティラルが運び込まれた宿の主人。クロノスに差し出された金貨と彼の人柄に簡単に懐柔され、3人の滞在中は過剰なまでに世話を焼き、情報提供なども行った。

クネ王国の行商人

クネ王国の行商団のリーダー。メホド王国に向かう途中、凶賊によって護衛隊を失い立ち往生していた。クロノスを護衛として雇う代わりに、彼らにメホド王国までの移動手段などを提供した。

#05 メホド王国

ライカ・E=S・デイン(14~15)

デイン王国の国王の養女で、彼女自身はアイシクル(氷人族)。神秘的な風貌と近寄りがたい雰囲気をもっているが、親しくなれば年相応に様々な表情を見せる少女。
クルトルを従えて養父の病の治療方法を探す旅をしており、利害関係が一致したティラルとナツキと一時的に協力関係となった。
中級魔術師(ギルダ)の階級を有し、紋章学に精通しており、《光の紋章》の制御と維持をナツキに頼りきりだったティラルに対して、その効率的な扱い方や制御方法の基礎を教えた人物。
言葉はきついがバッサリと核心をついた正論を突き付けてくるため、今まで叱られる経験が少なかったティラルにとっては良い意味でかなり強い刺激になった。

クルトル(外見25)

ライカの護衛を務める従者。非常に寡黙で冷静な長身の女性。
ライカの命令に従順で一切の感情を持たないのは、彼女が生体ではなく《ルーサー》という機械人形のためである。

サナトス・レイフ・グラフィエル(35)

クロノスとサマエルの父。グラフィエル王国の国王、グラフィエル教の法王、《魔術師協会》の最高責任者を兼ね、さらに現在は機能しなくなったファンザム帝国の国務も代行している。
ファンザム帝国のオリガとはアカデミー時代からの親友だった。
非常に厳格で気難しい人物。嫡男のクロノスを手駒のように扱うが、異常な執着を見せることもある。黒い噂も多々あるが、公の場でそれを口にできるような者は現在の西の大陸には居ない。

サマエル・グラフィエル(9)

クロノスの弟。兄と同じく1/4エルフの血を引いている。生まれつき盲目で、非常に臆病な性格の少年。生まれ持った高すぎる魔力を自身で制御できないため、クロノスと《守護者》の契約を結び、補助を受けている。

カイ・グラフィエル(14)

サナトスの弟の嫡男で、クロノスの従弟(生まれた日時は全く同じ)。
優秀な人物だが、常に従兄のクロノスと比較されて「2番目」として育ったため性格はねじ曲がっており、なにかにつけて彼を目の敵にしている。

#06 エーリエル諸島

ディユ・リグ・ロザル(外見12)

常に笑顔を絶やさない「自称12歳」の元気な少女。
エーリエル諸島の本島でよろず屋として気ままな生活をしているが、本来の彼女は東の大陸のロザル王国の次期国王で、光と誕生の神「ラニ・アンシャル」の祝福を受けた《神の子》である。
特に東の大陸側に関しては恐ろしいほどの人脈と情報網を持っており、彼女が把握していない事はほぼないと言える。
ティラルたちに条件付きで東の大陸へ渡る手段を提供し、ティラルとナツキの後ろ盾となり、東の大陸での身の安全を保障した人物だが、その真意には計り知れないものがある。
《訳あり者》としての通り名は「イルダーナフ(よろず屋)」

シニカル(※通り名/外見10)

ディユと共に神殿図書館の地下で生活している年齢不詳の《訳あり者》の少年。他人をからかうのが大好きで、西の大陸北部やファンザム帝国の内情について不気味なほど詳しい。

オド族の吟遊詩人

イアー王国出身の、おおらかな雰囲気のオド族の女性。吟遊詩人として《神話時代》の伝承や星の歴史を歌にのせて語り聞かせながら、各地を旅しているらしい。

#07 パミエル王国

クウラ・ストラス・パミエル(18)

パミエル王国の新米国王。物腰の柔らかい好青年で人当たりはいいが、マイペースで非常にゆるい。
即位する際に王の証として捺された《水の刻印》に肉体が蝕まれており、その影響を抑えるために薬で魔力を封じられている。その副作用で臥せることも多く、他者との接触や行動範囲も厳しく制限されているが、本人にはあまり気にしている様子がないため周囲が気が気ではない。
《神の子》であるディユの要請を受けて、ティラルとナツキを賓客として迎え入れ、国内での一切の自由を許可した。
水神信仰者のため、水神(=水竜)をも統べる竜王のナツキに対して強い関心を寄せ、一時的に深い親交を持った。

レイマス・エス・エレイス(46)

代々パミエル王国の宰相を務めるエレイス家の当主。先王カイルとは幼馴染。
《刻印》の影響で臥せりがちなクウラを助け、現在は国政の大半を担っている。養子のナイオスとは形だけの親子関係に留まっている。

ナイオス・G・エレイス(26)

クウラの友人であり、側近。「真面目」を体現したような人物。
西の大陸のグラフィエル王国出身だが、クウラの即位後にレイマスの養子となり、主に国内でのクウラの護衛と体調管理と教育係を担っている。

シャムシール・イザヤ(16)

パミエル王国の兵士見習いのノリの良い少年。剣の腕が立ち、イザヤ家に伝わる異国の剣術を得意とする。
素直なティラルを気に入り、本当の弟のようにかわいがる。自宅と寮とを数日ごとに行き来しているため、自分が留守の間はティラルを信用して妹のミーミルのことを任せていた。

ミーミル・イザヤ(14)

シャムシールの妹で、感情表現がまっすぐな少女。唯一の家族である兄を大切に思っているが、心配性故につい口うるさくなってしまう。
末っ子らしく甘え上手で、ティラルのことを兄のように慕う。とても行動的で、シャムシールが居ない時はどこに行くにもティラルを連れ回していた。

#08 ゼラー王国

マグニティス・メル・ゼラー(24)

ゼラー王国の女王で、ユシエル小国家連合の中心人物。歴代の女王の中で最も高い炎属性の魔力を持ち、自分にも他人にも非常に厳しい女性。パミエル王国の国王であるクウラとは異父姉弟。
《神の子》ディユの要請を受けてティラルとナツキを自国に招くが、周囲の動きを警戒したため王城に立ち入らせることはなく、半ば軟禁のような形で《水の離宮》に2人を匿って住まわせた。
自国の繁栄を第一に考えているため女王としての顔は冷徹そのものだが、国民からの信頼は厚い。
また、プライベートでは王配アイゼンとの仲も睦まじく、病弱な長女のアマティスタのことを溺愛している。

マーガレット・メル・ゼラー(15)

マグニティスの妹で、王位継承権は第三位。クウラの異父妹。過去に負った心の傷から自身の「声」を封じ、ラル以外が近づくことを許さない。
姉と兄の治める国同士の、不安定な関係の行く末を危惧している。

ラル(エスメラルダ)・レア(16)

代々宮廷魔術師として王族に仕えるレア家の嫡女。マーガレットの幼馴染で、現在は彼女の「声」を担う側近として、その生涯を彼女ひとりに捧げている。大陸最強の魔術師とも言われているが、本人は周囲の評価を気にしていない。

アマティスタ・メル・ゼラー(13)

マグニティスの長女。王位継承権は第一位だが、生まれつき体が弱く、1日をほぼ寝たきりで過ごすことが多い、儚げな雰囲気の少女。
母のマグニティス女王に溺愛されているが、魔力を持たないため、一部からは彼女の王位継承について疑問の声も上がっている。
ティラルが持つ不思議な癒しの力と彼自身の優しく穏やかな人柄に惹かれ、やがて淡い恋心を抱くように。

マルフィール・メル・ゼラー(8)

マグニティスの次女。王位継承権は第二位だが、強い水属性の魔力を持ち、生後間もなく水のコリエ(憑精霊)が憑いたため《水の離宮》に隔離された。母マグニティスに会ったことはほぼ無く、触れられたことは一度もない。
その境遇をものともしない明るく前向きな性格で、いつもコリエと離宮の中を駆け回っている。ティラルに対しては、年の近い友人のように親しみをもって接した。

#09 ロザル王国へ…

ラタル(外見25)

つかみどころのないニュートの青年。獣態は狐。
オドネル王国にある湖城《不可侵地区ルーク》を拠点とし、ニュートの《夢見》の力を利用して各国に厄災の予言や警告などを伝え歩く事から《サコ(不吉な報せ)》と呼ばれている。しかし《神王》ベル・リグ・ロザルの庇護を受けている彼の言葉を軽視することや、危害を加えることは誰にも出来ない。
ナツキとは旧知の仲で、幼少期のティラルとも面識があったが、ティラルは彼のことを覚えていない。
ロザル王国へと向かうティラルとナツキの前に突如として現れるが、彼の「目的」を果たすための手段は、あまりにも強引なものだった。

ロザリオ(15)

ティラルの双子の弟。
かつて母キシュルの胎内で死を迎えた際、《光の紋章》によって疑似的に生かされていたが、魂の半分は《紋章》に取り込まれたまま、肉体と魂が分離してしまう。4歳で兄のティラルと生き別れて以来、肉体の方は辛うじて生きているだけの人形のような状態となった。
魂の方はティラルの《光の紋章》の中に棲み着き、常にティラルの心身を守ろうと目を光らせている。
魂の方の彼は孔雀に《異物》と見做され、一時は《紋章》の奥深くに眠らされてしまうが、やがて様々な要因で術の力が徐々に弱まっていき―――

ベル・リグ・ロザル(外見10)

ロザル王国の《神王》。
ラタルとロザリオを庇護している。
ディユと同じく《神の子》と呼ばれる特殊なヒト族で、現在《神王》の座に就いている彼の言葉は、東の大陸の全ての国に対してディユをもしのぐ強制力を持つ。

ライラ(15)

不可侵地区ルークに住む不思議な雰囲気の少女。

大災厄編(中編)

ティラル・オリ・ベルティナ(17)

ラタルに与えられた《夢》の中に囚われていた彼は、約1年の間昏睡状態に陥っていた。
気が狂いそうなほどの深い闇の中で過ごした1年間の体験や、目覚めてからの様々な要因が重なった結果、ティラルは周囲のすべてを警戒するようになってしまい、15歳までの彼にあったあどけなさや穏やかさは完全に失われていた。
新たな庇護者《神王》ベルから《調停者(リラ)》という役割を与えられるが、ティラルはベルを本能的に警戒し、心を許すことはなかった。
なお、この頃のティラルは《守護者》のナツキの支え無しでも自力で《光の紋章》を維持できるようになっており、ナツキと離れていても不安に駆られることはなくなっていた。

ラタル(外見25)

《神王》ベル・リグ・ロザル派に属するニュートの青年。ティラルとナツキを不可侵地区ルークに匿っている。
掴み所のない性格故にティラルからは激しく警戒されているが、彼はそれすら面白がっている。

ライラ(17)

不可侵地区ルークに住む不思議な雰囲気の少女。ティラルの世話係をしているが、他者に対して異常なほど無関心。
《剥離魔法》の影響でティラルの子を身籠っていたが、当初はそのことにすらまったく興味がない様子だった。