大災厄編(中編)

『MYTH』の前編にあたる「旅路編」は、《神》に追われたティラルとナツキが「安住の地」を求めて旅をした日々を描いた物語だったが、その旅はロザル王国の国境を目前にして、ラタルの介入によって強制的に幕を下ろされてしまう。
 
そして再び幕が上がった『MYTH』の中編「大災厄編」は、それから約1年後からの物語となる。(眠りについたのが15歳の年末頃&目覚めてまもなく年が明けたため、中編では17歳~という扱いになっている)
 
約1年間眠り続けていたティラルが目覚めた時、彼はナツキとロザリオとの繋がりを失い、《神の子》ディユ・リグ・ロザルの後ろ盾も、自らの意思で「道」を選ぶ権利さえも失っていた。
ティラルは自身を取り巻く環境の変化に戸惑いつつも、新たな庇護者《神王》ベル・リグ・ロザルから《調停者(リラ)》という役割を与えられ、ラタルの下について働くこととなるが……。

後の世で《大災厄》として語られる「《神》の大粛清」の日が迫る「東の大陸」を舞台に、《神降ろし》のベルティナ家の血を引く者としてのティラルの孤独な戦いが始まる――

~ Character & Data ~

ティラル・オリ・ベルティナ
(17)

ラタルに与えられた《夢》の中に囚われていた彼は、約1年の間昏睡状態に陥っていた。
気が狂いそうなほどの深い闇の中で過ごした1年間の体験や、目覚めてからの様々な要因が重なった結果、ティラルは周囲のすべてを警戒するようになってしまい、15歳までの彼にあったあどけなさや穏やかさは完全に失われていた。
新たな庇護者《神王》ベルから《調停者(リラ)》という役割を与えられるが、ティラルはベルを本能的に警戒し、心を許すことはなかった。
なお、この頃のティラルは《守護者》のナツキの支え無しでも自力で《光の紋章》を維持できるようになっており、ナツキと離れていても不安に駆られることはなくなっていた。

ラタル(外見25)

《神王》ベル・リグ・ロザル派に属するニュートの青年。ティラルとナツキを不可侵地区ルークに匿っている。
掴み所のない性格故にティラルからは激しく警戒されているが、彼はそれすら面白がっている。

ライラ(17)

不可侵地区ルークに住む不思議な雰囲気の少女。ティラルの世話係をしているが、他者に対して異常なほど無関心。
《剥離魔法》の影響でティラルの子を身籠っていたが、当初はそのことにすらまったく興味がない様子だった。

不可侵地区ルーク

東の大陸のアトラス聖王国にある湖。またはその周囲数kmの範囲を指す。
アトラス聖王国の国王がラタル個人に与えた土地で、付近に立ち入ることは《神王》ベル・リグ・ロザルの権限で禁じられている。
湖の中央には小さな島があり、ティラル、ラタル、ライラはそこに建てられた湖城で生活している。3人以外にもアトラス聖王国などから派遣されているヒト族が十数名住んでいるが、ラタルの許可なく島に出入りすることは出来ない。

《剥離魔法》

古代魔法の一種。対象者から「異物」を引き剥がす魔法で、同じく古代魔法である《機械魔法》の反作用を相殺するために生み出されたとされているが、機械魔法が廃れた現在はヒト族に忘れ去られた魔法である。
魔力のみで「異物」を強引に引き剥がす術(被術者に大きな負担がかかる)と、北サルビアの花とアイシクルの魔力を使用して時間をかけて「異物」を溶かし流す術(被術者にほとんど負担がかからない)の2種類がある。

~ 大災厄編(中編) Story ~

いったい何があったんだ――

ニュートの能力でラタルに見せられた《夢》に囚われ、深い闇の中をさまよっていたティラルが目覚めたのは、それから約1年後のことだった。

長らく昏睡状態に陥っていたティラルの世話係を任されていた「ライラ」という少女の話で、ティラルは自身をとりまく環境が大きく変わっていたことを知る。
あの襲撃のあとラタルに「保護」されたティラルは、《神の子》ディユとの契約を反故にしたことで彼女の後ろ盾を失い、あらゆる力が及ばない「不可侵地区ルーク」と呼ばれる湖に囲まれた小さな島で各国からの干渉を防ぎながら約1年間眠り続けていたのだという。

ティラルは同じく不可侵地区ルークで保護されているというナツキの姿を探すが、ラタルは2人の接触を固く禁じ、「治療」に専念するように命じた。

▲《竜の紋章》の移譲によって竜の加護を失ったナツキは、ただ静かに眠り続けていた。

▲アイシクルの少女「ライラ」は、まるで感情を持たない人形のように淡々とティラルの世話係として治療を行い続けた。

ティラルは眠っていた期間にラタルの指示で《剥離魔法》という特異な術を受けて「ロザリオ」との繋がりを強制的に剥がされていたことを知る。
被術の際に長期間投与されていたという依存性の強い薬に侵されていたティラルは、体に残った毒素に苦しみながらもラタルの意図を探りつつ、まずは体の回復を優先して辛抱強くライラの治療を受け続けた。
そのライラもまた、《剥離魔法》の影響でティラルの命の一端を腹に宿しており、彼は異常な状況に混乱するばかりだった。
 

「治療」が終わると、ラタルは東の大陸の各国に「《神王》の言葉」を伝え歩く《調停者(リラ)》としての役割をティラルにも担わせるため、《神王》ベルと引き合わせる。
ラタルに対して強い不信感を抱いていたティラルはこれに反発するが、衰弱して眠り続けるナツキを盾に取られる形となり、彼に従わざるを得なかった。
 

表面上は従順に《調停者》としての仕事をこなしつつも、ティラルは満月の度に密かに《神》との交感を繰り返し、やがてラタルが成そうとしていることとその真意に辿り着く。


《大災厄》と呼ばれる「《神》の大粛清」の日が目前に迫っていることを知ったティラルは、《神降ろし》のベルティナ家の血を引く者として《神》に立ち向かうべく、来たる日に備えて各地を奔走するのだった――

    『MYTH』感想箱

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